編集担当
最近の小説は奇を衒ったりミスリードを誘うために
意味もなく長いタイトルにするのがトレンドですね。
作家
思いついた。
『君の肝臓が明日の僕のデートを全力で否定するがでもそれは今日ではない』
どう?
担当
パクりも甚だしいですが、
君という人は明日急きょ休肝日なんでしょうね。
今日否定しないってことは。
作家
いや、この君の肝臓は
明日のデートのときは昨日の肝臓なわけ。
担当
もう話までパクってますね。
ていうか、昨日の肝臓ってなんですか。
昨日の君でいいですよね。
作家
いや、君という子は肝臓だけがどんどん若返る病気で、
現時点で肝臓の臓器年齢は60歳近いのさ。
だから適度に休肝日を設けないと。
明日がその日だったっていう。
その日によって調子が変わってくるから。
担当
それは、恋愛モノなんですか?
アンビリバボーみたいな話ですか?
作家
でね、デートの舞台は遊園地。
なんとそこで黒ずくめの男に出会う。
僕は君の本当の秘密を聞くことになるのさ。
担当
サスペンスミステリーっぽい様相ですね。
ただ遊園地で黒ずくめってのが心配です。
作家
実は黒ずくめの男は
君という人を守るために
未来から来たレジスタンスで、、、
担当
せっかくのサスペンスも台無しです。
心配が的中してます。
何だか古くさいですし。
肝臓の設定も蔑ろですし。
作家
アイル・ビー・バック。
担当
まずはその着眼点から
一旦現実に戻ってきてください。
作家
見た目は大人、肝臓はもっと大人
担当
あーとうとう言ってしまいましたね。
ひどい迷走ぶりですね。
作家
ホラーをやりたいんだよ。
とびっきりの。
担当
今までの時間なんだったんですか。
作家
設定はこのままでさ。
実は僕は猟奇殺人の犯人で
君の肝臓がどんどん若返るから
頃合いになったら、、、
「君の肝臓が食べたい。」
.
みたいな。
担当
オリジナリティとアイデンティティは
どこかへ行ったんでしょうね。
作家
君もちょっとは考えてよ。
担当
うーん、では恋愛ものはどうでしょう。
ご自身の体験に基づく甘酸っぱい感じの。
作家
ある日、僕が通う学校に転入生が来る。
可愛らしい女の子。物静かで
あまり口数も多くない。
どこか裏がありそうな。
でもそんな女の子のことが気になって
とある放課後、下校途中の彼女の後をつけてしまう。
担当
なんかちょっと古臭い気もしますが
導入部としてはいいのでは。
作家
駅のホームでいきなり彼女がこちらを振り向く。
彼女「私になにか用ですか?」
僕「いや、あの、君に伝えたいことがあって、、」
.
担当
展開早くないですかね。
僕「僕を知っていますか。」
彼女「はい、もちろん。」
僕「僕とデートしてください。」
彼女「お断りします。」
僕「なぜでしょうか。」
彼女「彼氏彼女の関係を全く想像できないからです。」
僕「僕はあなたのことを何でも知っています。」
彼女「はい、そうだと思います。」
僕「あなたへの想いは誰よりも強い。」
彼女「そうであってもらわなくては困ります。」
彼女「当然、私以外の生徒であっても。」
僕「あなたじゃなきゃ駄目なんだ。」
彼女「困ります。」
僕「どうしてなんだ。」
彼女「無理です。先生。」
.
担当
え?担任?
途端に混乱してきましたよ。
いや、それよりも実体験と
言ったつもりですが
これが先生の体験談だとしたら
かなりリスク背負いますね。
作家
よし、君との
このやりとりを
本にしよう。
担当
もしかしてシリーズもの狙ってますね。